平成15年6月定例会 討論   


 私は、新政クラブを代表して議案第71号豊田市個人情報保護条例、第73号豊田市情報公開条例の一部を改正する条例について、賛成の立場で、議案第74号豊田市手数料条例の一部を改正する条例については、岡田耕一個人として反対の立場で討論させていただきます。
 まず、議案第71号豊田市個人情報保護条例についてであります。
 本条例案は、豊田市電子計算機処理に係る個人情報保護条例を包含する形の条例で、電子情報だけでなく、手作業により処理される個人情報についても、その収集や管理についての基本的事項を定めて個人情報の適正な取扱いを確保するものであります。
 本条例は、思想、信条及び信教並びに社会的差別の原因となるおそれのある個人情報の保有の制限や電子計算機の結合禁止、罰則も強化するなどすぐれた内容もあります。また、市が保有する個人情報に誤りがあった場合には、住民に自己の情報の訂正や削除を請求する権利を認め、その請求に対する市の処理に不服がある場合には、不服申立てをすることができるなど、国の個人情報保護法以上の条例と高く評価するものであります。
 しかし、住基ネットへの対応についてはいま一つ不十分さを感じております。住民基本台帳ネットワークシステム管理要綱第6条2項では、住基ネットの個人情報が漏えいした場合、又はそのおそれがあると判断した場合は、愛知県へのデータ送信を中止するとともに、愛知県に対し送信済みデータの削除を求めるなど所要の措置を講じるとありますが、この個人情報保護条例案にはこうした条文が明記されておりません。
 新聞報道によりますと、全国の市区町村のうち1割以上の約400の自治体で住民基本台帳ネットワークと接続している庁内LANがインターネットと接続しているということが総務省の資料からわかったそうであります。こうして考えますと、豊田市からは個人情報の保護はできても他の自治体から漏えいするおそれがあるのです。
 そうしたことへの対応として東京都練馬区では、個人情報保護条例第32条において、区長は個人情報の保護を図るために必要があると認めるときは、国又は他の地方公共団体等に対し適切な措置を講じるよう要請するものとするとして、住基ネットに対する個人情報の保護に万全の対応をされています。
 杉並区では、住民基本台帳に係る個人情報の保護に関する条例第6条において、区長は住民票記載事項の漏えい又は不適正な利用により、区民の基本的人権が侵害されるおそれがあると認めるときは、国、他の地方公共団体、指定情報処理機関、その他の関係者に対し報告を求めるとともに、必要な調査を行わなければならない。区長は前項の規定により、国等からの報告又は調査により、区民の基本的人権が侵害されると判断したときは、区民の個人情報の保護に関し必要な措置を講じなければならないとして住基ネットの切断も盛り込んでおります。しかし、本条例案では住基ネットの対応については不十分と言わざるを得ません。
 また、住民基本台帳からの大量閲覧、大量転記を防止しようとする考えのないことが残念でなりません。
 本市でも今後こうした条文を盛り込むことなどの条例改正を求め、議案第71号豊田市個人情報保護条例に対する賛成討論といたします。
 続きまして、議案第73号豊田市情報公開条例の一部を改正する条例についてであります。
 本条例案は、用語、規定の統一という事務的なものに加え、今まで任意的公開だった平成10年3月31日以前に作成した公文書についても開示の対象にするという情報開示に対しまして非常に意気込みを感じる条例改正です。これにつきましては、私も一般質問等で取り上げてまいりましたので大変評価しております。しかし、開示請求者については、かたくなに改正を拒否し続けております。県の条例でも開示請求者は何人も開示を請求することができるとなっております。時代はこうした方向に進んでおります。この件につきましても、今後、条例改正することを求め、議案第73号豊田市情報公開条例の一部を改正する条例についての賛成討論といたします。
 最後に、議案第74号豊田市手数料条例の一部を改正する条例について、岡田耕一個人として反対の立場で討論させていただきます。
 本条例は、住民基本台帳カードの交付手数料を500円にすること、条文へののぼり旗の追加でありますが、住民基本台帳ネットワークシステムについて一貫して反対してきた者として住民基本台帳カードについても一言述べさせていただきます。
 本条例案は、手数料の可否だけを審議するのではなく、住民基本台帳ネットワークシステムそのものについても考える必要があります。住民基本台帳カードの発行は、住民基本台帳法第30条の44で、住民基本台帳に記録されている者は、そのものが記録されている住民基本台帳を備える市町村の市町村長に対し、自己に係る住民基本台帳カードの交付を求めることができる。市町村長は交付申請書の提出があった場合には、その者に対し政令で定めるところにより、住民基本台帳カードを交付しなければならないとなっているために発行する義務があるかもしれません。しかし、今後大きな問題を発生させるおそれのあるこのシステムに対し義務だからと無条件に従うのはいかがでしょうか。
 私が住基ネットに反対なのは、現行の6情報の漏えいの可能性だけを問題としているのではなく、全国民につけられた住民票コードが年金番号や納税者番号等の行政番号や、勤務先での社員番号、また民間企業で活用している個人情報にも同じ番号をつけ一元管理される可能性を否定できないからであります。今はそれぞれ単独の番号がついており、法的にも規制されていますが、管理する側の利便性から考えれば一元化を目指すのは当然の流れです。そうして情報は意図的であるなしにかかわらず漏えいする可能性を持っています。こうして官民それぞれ膨大な情報量が集積された現在のIT社会の中では瞬時に漏えいする可能性があるのです。
 先程も述べましたが、全国の約400の自治体で住民基本台帳ネットワークと接続している庁内LANがインターネットと接続しているというのです。こうして考えますと、豊田市からは情報は保護されても他の自治体から漏えいする可能性が大きいのです。そして住基カードの問題としては、紛失、盗難に遭った場合の情報漏えいを考えなければなりません。今は住民票コードと履歴、そして基本情報だけかもしれません。しかし、今後多くの情報を入力される可能性があるのです。
 平成12年6月定例会での市民部長答弁では、「住基のICカードには市民証的な機能を備えて対応し、市民の方の利便を図りたい。ICカードでは印鑑証明、住民票、将来は戸籍等にも利用が可能であるし、また病歴等を入れることも可能と聞いております」とのことでした。また14年9月定例会では市民部長が、「住基のICカードにはいくつもの機能を1枚のカードで併せ持つ多目的カードとして使えるという特徴があることから、現在、庁内の情報化推進計画策定研究会におきましてカードの有効利用について検討を進めている。その結果を待って適切に対応していきたい」と答弁されております。
 将来的に印鑑証明、戸籍、病歴まで入れてしまうことまで検討しているというのです。これは大変危険なことだと思うのです。このICチップには新聞1ページ以上の情報を入れることができ、入力情報決定も自治体の裁量ということであります。この6月定例会の委員会質疑においても活用できれば今後活用していきたいという答弁もございました。そして、多くの情報が入力された住基カードを多くの市民が持ち、紛失、盗難に遭った場合の情報漏えいを考えますと非常に恐怖を感じます。
 さらには、財源のことについても考える必要があります。交付手数料は500円、しかし、カード1枚あたりのコストは1,260円という答弁で、カードへの印字や情報入力コストを含めれば1枚あたりのコストは2,000円ほどになります。それらを500円で発行するのはいかがでしょうか。
 国が特別交付税として差額は措置してくれるからいいと簡単には言えないのではないでしょうか。ただでさえ国の厳しい財政状況から、三位一体改革と言って地方への補助金や交付税を引き下げようとしている最中に住基カードの発行は特別扱いという状況は長くは続かないのではないでしょうか。委員会での答弁では本年度発行予定枚数は2,500枚ということでした。豊田市民全体から考えますと、0.7パーセントしかいないのです。これだけのニーズしかないとも言えます。
 住民基本台帳ネットワークシステムへの選択制を既に実施し、約85万人の市民が不参加を希望した横浜市や、選択制を導入すると発表した東京都杉並区、選択制導入を検討している札幌市など、それらの自治体と本市とは何が違うのでしょうか。
 東京都小金井市議会の総務企画委員会が住民基本台帳ネットワークシステムのICカード手数料500円と定める手数料条例の一部改正案を反対多数で否決したように、本市でも多くの議員が反対されることを期待し、議案第74号の反対討論といたします。



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