平成16年7月7日

議会活性化推進特別委員会

議員報酬・政務調査費・費用弁償に関する見解

 

1 議員報酬に関する考察

(1)議員報酬の法的位置付け

 

報酬とは、「地方公共団体の議会の議員、委員会の委員等の非常勤の職員が行う勤務に対する反対給付(一定の役務の対価)を言う。(地方自治法第203条)

よって、長、常勤の職員、常勤の監査委員等に対して支給する「給料」と区別している。普通地方公共団体は、これらの非常勤の職員に対して報酬を支給しなければならない。

また、旅費や交通費などの職務を行うために要する経費(実費弁償的意味をもつ費用弁償)を支給することができる。

さらに、条例で定めることにより議員に対し、期末手当を支給することができる。

議員報酬については、地方公共団体が条例で自主的に定め得るもの(日額・月額・年額)であるが、ほとんどの地方公共団体が月額制にしている。

(法的には、議会の議員の報酬に関する支給の原則については、触れていないと解すべきとされている。)

 

地方自治法 第203条

普通地方公共団体は、その議会の議員、委員会の委員、非常勤の監査委員その他の委員、・・・ 中略 ・・・に対し、報酬を支給しなければならない。

2 前項の職員の中議会の議員以外の者に対する報酬は、その勤務日数に応じてこれを支給する。但し、条例で特別の定をした場合は、この限りでない。

3 第1項の者は、職務を行うため要する費用の弁償を受けることができる。

4 普通地方公共団体は、条例で、その議会の議員に対し、期末手当を支給することができる。

5 報酬、費用弁償及び期末手当の額並びにその支給方法は、条例でこれを定めなければならない。

 

(2)議員報酬の現状

 

@ 「議員職」の職業としての魅力の低下傾向

現在の報酬で日常の議員活動、生活、次の選挙の準備をすることは困難であり、議員は自分の財産を使い、家族の収入をアテにするほかない。最近の地方議員選挙で無競争当選が多くなり、また立候補者が定数に対し数人だけ上回るところが多くなりつつある。現在の報酬では家族への責任を果たすことができない。一口で言えば議員が魅力ある「職業」として受けとめられなくなっている。これは別の表現をするなら、議会制度の危機と言える。

 

A 議員の専門職化

報酬の基本的性格は地方自冶法で生活給でないことが明らかであるが、実際の地方議員の活動を見ると、県議会議員や市議会議員は他に職業を持っていては住民の期待に応える活動をすることはできない。地方自治法制定時の議員像は、行政の守備範囲の拡大、住民の議員に対する要請と、これに対応する議員活動の必要性、年4回の定例会の会期日数等から、現在の議員にはあてはまらなくなっている。つまり他に職業を持っていては、議員としての活動ができなくなりつつある。

 

B 市民感情とのギャップ

市民には、年に4回の定例会及び委員会という議員活動から、58万円という月額の報酬が高額であるという感情が依然残っている。定例会・委員会以外の議員活動が非常に増えてきているにもかかわらず、市民には議員の多忙さは理解されておらず、仮に理解されていても公式な会議以外の活動は、選挙に向けての活動の一環であると考える市民も多い。

また、各種の手当てが自治法上支給できないことや高額な議員共済費などにより可処分所得(いわゆる手取り収入)が、報酬額に比べて小額であることも知られていない。

 

(3) 議員報酬に関する見解

 

@ 議会の権能向上の視点から適切な報酬額の設定が必要である

地方分権の動きの中で、市民に一番身近な地方自治体である市の役割は年々高まっている。その一方で、市の行政と両輪を担うべき市議会については、単純に市三役と報酬額を比較しても大きく見劣りし、「議員職」の職業としての魅力の低下傾向も指摘されるなど、地方分権時代の行政の複雑・専門化に対して議会の権能向上が追いついていない現状である。

議会の権能を向上する視点から議員報酬を見直し、地方分権時代の中核市である本市に見合った報酬額を設定すべきである。

 

A 議員の専門職化(専業化)の視点から適切な報酬額の設定が必要である

法的には、議員の報酬は「勤務に対する対価」であり、生活給ではないが、議員の活動は年々複雑化・多様化しており、現状では本職を議員以外においたまま、議員活動を続けることは不可能と言える。実質的に、議員は「議員職」に就いていると言うことができ、議員報酬は生活給的な意味合いを持たざるを得ない。近年の選挙で立候補者数が減少しているのは、現在の職業から「議員職」に転職した場合に報酬額が十分でなく生活に支障をきたすため、踏みとどまっているとも考えられる。

議員の専門職化(専業化)の視点から、「議員職」として生活が成り立つように適切な報酬額を設定すべきである。

 

B 報酬・政務調査費・費用弁償の合計額との比較検討が必要である

議員報酬を議員自身が決定することは、いわゆるお手盛りとの指摘を受けかねない。しかしながら、議員は、報酬から生活費の他に、議員としての調査研究活動費を支出している。この調査研究活動に、どの程度の費用を充てるかは議員により千差万別であるが、通信運搬費、広報活動費など多岐にわたっている。

適正額を求める際の指標として、他市議会の報酬額と比較することは必要ではあるが、議員活動に要する経費は、議員報酬の中から支出するもののほか、政務調査費、費用弁償でその活動に充てられており、他市との比較をする際には、議員報酬・政務調査費・費用弁償などの合計額との比較(別添)するべきである。

特に政務調査費に関しては、他市では支出できるものの本市の使途基準では認められず、本市議会議員は議員報酬の中から支出している。

 

 

2 政務調査費に関する考察

(1)政務調査費の法的位置付け

 

地方公共団体が、条例の定めるところにより、その議会の議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として、その議会における会派又は議員に対し、交付することができる金銭的給付をいう。(自治法100条13)

政務調査費の交付の対象、額及び交付の方法は、条例で定めなければならない。額を条例で定めるに当たっては、例えば特別職報酬等審議会等の第三者の意見をあらかじめ聴くなど、住民の批判を招くことがないよう配慮することが適当とされている。

また、政務調査費の使途の透明性を確保するため、政務調査費の交付を受けた会派又は議員は、条例の定めるところにより、当該政務調査費に係る収入及び支出の報告書を議会の議長に提出するものとされている(自治法100条14)。

政務調査費の制度は、平成12年の自治法の一部改正により制度化されたものである。

地方自治法第100

13 普通地方公共団体は、条例の定めるところにより、その議会の議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として、その議会における会派又は議員に対し、政務調査費を交付することができる。この場合において、当該政務調査費の交付の対象、額及び交付の方法は、条例で定めなければならない。

14 前項の政務調査費の交付を受けた会派又は議員は、条例の定めるところにより、当該政務調査費に係る収入及び支出の報告書を議長に提出するものとする。

豊田市議会政務調査費 使途基準

項  目

内  容

使途の例示

研究研修費

研究会、研修会等を開催するために要する経費又は他の団体の開催する研究会、研修会等に参加するために要する経費

会場費、器材借上料、講師謝金、出席者負担金・参加費、旅費、郵送料

調査旅費

先進地調査又は現地調査(日本国内の調査に限る。)に要する経費

旅費、施設入場料

資料作成費

調査研究活動に必要な資料及び調査報告書等の作成に要する経費

写真現像代、印刷製本費、筆耕翻訳料

資料購入費

図書、資料等の購入に要する経費

新聞購読料、雑誌購読料、図書代

会議費

市政に関する要望、意見等を吸収するための会議及び会派が政策等を審議するための会議に要する経費

会場費、器材借上料、印刷製本費、茶菓子代、通常用いられる程度の食事代、郵送料

事務費

消耗品の購入に要する経費

筆記具代、用紙代、カセットテープ・フロッピィディスク代

その他経費

上記以外の経費で、調査研究活動に必要な経費として議長が定めるもの

 

備考 旅費の計算は、豊田市職員旅費条例(昭和41年条例第1)別表1号に規定する支給対象者の旅費相当額に準じて算定するものとする。

 

(2)政務調査費の現状

 

@ 第2報酬という指摘

本市においては、報告書において領収書の添付が義務付けられているため、当てはまらない部分も多いが、一般的には領収書の添付等は行われないことが多く、適正な支出かどうかについては調査することが難しく、「第2の報酬」という指摘がある。

また、交付対象は会派に限られているが、他市においては個人的な活動や政党活動に使用する事に関するチェック機能も機能しておらず、市民からのさまざまな指摘がなされたり、訴訟に発展するようなケースも見られる。

A 本市における使途の透明性と厳格な運用及び市内外の高い評価

本市においては、使途基準に広報・広聴費、人件費を含めておらず、@で述べたような個人的な活動・政党活動に使用される例は見られない。また、領収書の添付を義務付け、報告書の閲覧により透明性も確保していることなど、市民や市外のオンブズマンなどからも高い評価を受けている。

 

(3)政務調査費に関する見解

 

@ 使途基準は現行のままとする

市内外から高い評価を受けている使途基準は現行のままとする。

現行の使途基準の下では視察旅費の支出が大部分を占めることになりがちであるが、今後は調査委託での使用など、現行の使途基準での有効利用についても検討していくべきである。

ただし、視察旅費の支給は、実費精算を基準とする。また、具体的な使途については、規程に定めることとする。

 

A 他市の使途に見られる費用は、報酬として支出すべきである

これまでに指摘してきたように本市の使途基準は他市に例を見ないほど、厳格なものである。特に、広報・広聴費は議員活動に不可欠なものにもかかわらず、本市では、公私の区別の判断がつきづらい使途については、会派活動に支給する政務調査費では支給すべきでないという見解を出している。また、金額においても中核市の中で群を抜いての最少額となっている。

政務調査費制度の性格が、議員の調査活動の一部を補助するものであることから、本来議員報酬における議員の調査活動に充てる費用に着目すべきである。

今回、報酬についての見直しにあたり、以上のような本市の現状を考慮し、広報・広聴費相当分については、議員報酬額に算定されるように要求していくべきである。

 

 

3 費用弁償に対する考察

(1)費用弁償の位置づけ

 

地方公共団体の議会の議員や審議会などの附属機関の委員等の非常勤の職員に対して、職務の執行等に要した経費を償うため支給される金銭のことをいう。

議員は、役務の対価として、報酬を支給されるが、そのほかに職務に要した経費の弁償を受けることができる。

費用弁償は、交通費や旅費など職務の執行のために要した費用の実費の弁償であるが、その額は必ずしも現実に要した額と同一である必要はなく、条例に標準的な費用を定め、これを基礎とした定額により支給するのが通例である。

(2)費用弁償の現状

 

報酬と同様その支給額と支給方法は条例で定めなければならないとされ、その額は、運賃を実費、宿泊科および日当を定額としているのが一般的である。本市では、条例によって、会議出席一回に付き5000円と定め、要項で、内容は、交通費と日当であると定めている。

「月額報酬を受けながら、本務である議会の会議に出席すると費用弁償として一定額をもらうというのはいかにもおかしい制度である。廃止されるべきではないか。」という指摘もある。

 

(3)費用弁償に関する見解

 

議員報酬に加えて本務である本会議等の出席に対し、距離に関係なく一定額を支給することは市民に説明しづらい。ただし、交通費等の経費は公務員・民間企業では通常支給されており、自治法上、費用弁償という形をとらなければ交通費等の各種手当てを受け取ることができないという背景も勘案すべきである。今回、議員報酬を見直す機会に議員報酬に一本化するという視点で費用弁償は廃止すべきと考える。