平成16年8月31日

議会活性化推進特別委員会

視察旅費(政務調査費以外)・事務局費・議会費全体に関する見解

 

1 視察旅費(政務調査費以外)に関する考察

(1)視察の位置付け

常任委員会は本会議から付託された案件を審査するとともに、所管事務について調査を行うこととされている(地方自治法第109条第3項)。

所管事務について調査を行うにあたり、他団体の状況を調査するために委員の派遣をするには、あらかじめ、日時、場所、目的、経費等を記載した派遣承認申請書を提出し、事前に議長の承認を得なければならない(豊田市議会会議規則第74条)。

また、所管事務について調査または特別委員会、議会運営委員会の調査を定例会会期中以外に行う場合には、閉会中継続調査事件として行われなくてはならない(地方自治法第109条第6項、第109条の2、第110条)。

地方自治法

第109条

 常任委員会は、その部門に属する当該普通地方公共団体の事務に関する調査を行い、議案、陳情等を審査する。

 常任委員会は、議会の議決により付議された特定の事件については、閉会中も、なお、これを審査することができる。

第109条の2

 前条第4項から第6項までの規定は、議会運営委員会について準用する。

第110条

 特別委員会は、会期中に限り、議会の議決により付議された事件を審査する。但し、議会の議決により付議された特定の事件については、閉会中も、なお、これを審査することを妨げない。

豊田市議会会議規則

第74条(委員の派遣)

委員会が審査又は調査のため、委員を派遣しようとするときは、その日時、場所、目的、経費等を記載した派遣承認要求書を議長に提出し、あらかじめ承認を得なければならない。

 

(2)視察の現状

@ 視察の成果は間接的に市政に反映される

現在の委員会視察は、所管事務について調査を行うものであり、委員会視察の主な効果は、「委員会の所管事項についての他市の事例を調査し広い知識を得ること」、「委員間で共通の認識を持って審査に臨むこと」などである。

この委員会視察の成果は、本会議から付託された案件の審査に影響を及ぼす直接的な成果というより、むしろ間接的・将来的な成果と言える。

また、個々の委員が先進地視察で得た知識は、当然、平時の議員活動や一般質問に反映されている。

 

A 議員視察に対する誤解と効果のPRの不足

委員会視察は全国の地方議会で行われている。一部の地方議会において批判されるような報道があると、本市をはじめ多くの地方議会には当てはまらないにもかかわらず、住民はすべての議会について批判が当てはまると錯覚する。

これは、マスコミの報道の仕方にも問題があるが、普段、住民が視察の成果を十分に認識していないためでもあり、議会が委員会視察の成果を住民に対して十分にPRしていないことにも原因がある。

 

B 本市における効果的な視察を行うための改善

本市の常任・特別委員会の視察は、2泊3日で行なうことを例としているが、近年は2泊3日の視察は4箇所の視察が通例となっている。

視察先の選定においては、事前に各種刊行物やインターネットにより視察先の情報を集め、実際に行くべきどうかを調査したうえで、委員派遣を決定している。

視察終了後においては、全委員が1週間以内に視察報告書を委員長に提出し、それを受け委員長が視察報告書を作成し、市役所1階の市政情報コーナーで住民の閲覧に供している。

このように、本市における委員会視察は、視察先の量・質・視察後の報告などにおいて、効果的な視察のための改善が行われている。

 

(3) 視察旅費に関する見解

(ア)市外視察

@ 委員会視察は常任・特別・議運のいずれも実施すべきであり、視察旅費上限額は現行のままとする

委員会の視察を必要に応じて適切に行えば、効果は十分にある。本市における委員会視察は、事前調査の充実、視察行程の密度、委員会報告書の内容などを見ても、現状で十分に成果を上げている。よって、常任・特別・議会運営委員会の視察はいずれも実施すべきと考える。

また、視察旅費額は、視察の目的が果たせるかどうかで議論すべきである。本市における委員会視察は、常任・特別委員会は2泊3日、議会運営委員会は1泊2日を例としているが、現行の視察旅費上限額の9万円、7万5千円であれば、北海道及び東北・九州の一部を除いたほぼ日本全国を視察先に選定することができる。よって、視察旅費上限額は、現行のままとすべきと考える。

 

A     旅費の精算方法は、現行どおりとする(概算払い)

現行の視察旅費は、運賃については行程による概算、宿泊代・日当については定額支給となっている。「宿泊代については地方都市に宿泊する場合と都心部に宿泊する場合でホテル代に差がある。」、「運賃については時間の制約などにより公共交通機関で計算された区間でタクシー等を利用することがある。」などの指摘もあるが、おおむね実態に沿った金額を支給していると言える。

実費精算を導入した方が、より実態に近づくという指摘もあるが、食事代とは厳密に実費精算することは難しい。

よって視察旅費の精算方法は、現行どおり(概算払い)とすべきと考える。

 

B 視察は全委員の視察を基本とするが、視察報告会等の開催により委員間の共通認識が図られるならば、2班の分割視察も可能とする

現状で指摘したように、委員会視察の効果の一つは、所管事項について全委員で先進事例を調査し共通認識を得ることである。その意味から言うと、委員会視察は全委員が共通の視察を行うべきである。

その一方で、視察行程上どうしても4箇所程度しか視察できないことや委員会として調査したい先進事例が一度の行程では視察することのできない地域に分散していることにより、視察先に制限を受けることもある。

以上の点を考慮し、視察実施後に委員会での報告を行うことにより全委員間で共通認識が図られるならば、分割での視察をすることも可能とすべきと考える。

ただし、分割での視察は委員会の共通認識を図る意味から最低限(2班まで)にすべきと考える。その際の事務局随行は、現行の委員会担当者2名が、1班につき1名ずつとする。

 

(イ)市内視察

C 委員派遣による市内の現地視察については可能な範囲で実施する

議案や請願の審査にあたり、現地を実地調査し、委員間で共通の認識を持っておくことは非常に効果的である。また、所管事項調査として、市外の先進地視察だけでなく市内の実態を調査することも必要といえる。現状は、付託された議案等の審査は定例会会期中の限られた期間で行わなければならないことや、所管事項調査は市外の先進地視察が優先されるため、議員が個々に現地を確認するに留まっている。

来年4月に向けて検討されている市町村合併の後は、今までは市外であった広大な地域に関する議案を審査しなければならず、今まで以上に現地視察及び市内の所管事項調査の重要性は増すと考えられる。

よって、委員派遣による市内の現地視察については、閉会中も視野に可能な限り実施すべきと考える。

 

(ウ)海外視察

D 海外視察は今期の視察終了時に総括を行い、費用も含めて効果の検証を行う

今期、本市議会は39名の議員により3団に分かれ海外視察を実施する。うち2団についてはすでに実施した。本市の海外視察は事前に検討委員会により検討をおこなった。

今期の3団の視察終了後には、海外視察の評価・反省を行い、費用も含めた効果の検証をおこない、次回の海外視察の検討の材料とすべきである。

 

(エ)その他

E 市政に反映されるよう視察実施後は委員会で報告を行い、視察報告書は関係部局へ送付する

現在、視察報告書は委員長が作成し、市政情報コーナーで住民の閲覧に供しているものの、視察で得た情報・知識を委員会として市政に提言する機会はない。

先進地の事例を調査し市政に提言を行なうという視察の意義を実現するために、視察実施後に委員会で報告を行い、視察報告書は市政に反映されるよう関係部局へ送付するべきと考える。

 

2 事務局費に関する考察

(1)議会事務局の現状

 

@ 市長部局に比べ少ない職員数

総務省の調査「地方公務員給与の実態」によると、全国の地方公務員の総数に占める議会事務局職員の割合は、わずか0.4%に過ぎない。執行機関と対等といわれる議決機関の議会の独立性、主体性を確保するには、現状の職員数はあまりにも少ない。

 

A 求められる調査部門の充実

議会事務局の業務は、長い間、議事運営と議長の秘書業務が中心に考えられており、地方分権の時代になり、地方議会独自の政策調査の必要性などが指摘されているが、議会事務局の調査機能の充実はなかなか理解されづらい。また、行政改革が盛んに論じられる中、機能充実という理由での議会事務局の職員の増員もなかなか受け入れられないのが現状である

 

B        求められる法制部門の充実

市政に対する議会の監視機能を担保するためには、法制部門の充実は不可欠である。また、議会活性化の議論の中では、本来、立法機関である議会は議員提出による条例の成立にも取り組むことが求められている。

しかし、いざ議員が条例案を作成しようとした時に、議会事務局にサポートできる職員がいないのが現状である。実際には議員提出の条例がほとんどなく市長部局の議案審査に専念すればいいという意見も聞かれるが、議会の立法機能の充実を求める声は依然多く聞かれる。議会単独での法制担当職員の雇用が難しいのならば、市長部局の法制担当職員を併任させるなども考えられる。

 

(2)事務局費に関する見解

 

@ 本来、議会事務局として行うべき業務と委託等の推進による費用の削減を考慮した上で、適正な事務局体制を整備する

事務局体制の強化は、議会の権能向上に欠くことができず、早急に取り組むべき課題である。その一方で、市の行政改革を推進する中、議会事務局の人員増を一方的に求めることはできない。

まずは、本来、事務局として行うべき業務でありながら、人員の不足により十分に行われていない業務の洗い出しを行い、その上でコスト縮減の視点で、外部委託の推進などを検討し、議会事務局として適正な体制と人員数を確保するべきである。

 

A 合併を視野に入れて、事務局人員数の検討を行う

来年の4月に向けて検討されている市町村合併後は、議員数は40名から47名に増員され、市域は3倍以上に拡大される。

また、合併に伴う調査検討事項の増加も予想される。

合併を視野に入れて、事務局人員数の検討を行うべきである。

 

B 調査機能、法制機能の充実を図る

地方分権時代の地方議会の役割は益々高まっている。調査機能、法制機能の充実を図るべきである。

 

3 議会費全体に対する考察

(1)議会費全体に対する見解

@ 決められた議会費の有効活用という視点で検討する

本特別委員会ではこれまで議会費のうち報酬・期末手当、政務調査費、費用弁償、視察旅費、事務局費について、適正な金額、有効な活用策などについて検討を行なってきた。

地方自治体の厳しい財政状況の中、必要であるからといって議会費を一方的に増額することは無理がある。限られた議会費をどのように配分し、有効活用するかという視点で検討すべきである。

 

A 市の予算のうち、どれだけを議会費に充てるかという視点で検討する

一般会計総額に占める議会費の割合というのは、全国的に見ると約0.5%である。これは、行政を監視する機能を持つ議会に充てられる費用としてみると、必ずしも多くはない。

議会の機能の低下は、一般会計総額の99%以上を占める議会費以外の市の予算執行のチェックが十分に行なわれないという状況を招きかねない。

行政の執行に対する保険として、議会の予算を考え振り分けるべきである。