新渡刈清掃工場建設問題について

 

この問題は、単に市が新しくごみ焼却工場を建設するということだけではなく、市民が積極的にごみ減量化、循環型社会実現を目指すということから多くの市民の方に関心を持っていただきたい問題です。また、市が導入を検討している次世代型の清掃工場とは何か。どんな問題を抱えているのかもお伝えしたいと思っています。

 

新渡刈清掃工場建設の経緯について

 

広報とよた等でご存知の方も多いと思いますが、市は市民のごみ排出量の増加、現在稼動中の渡刈清掃工場(S62年完成、220t/日)および藤岡プラント(S54年完成、150t/日)の老朽化を理由に平成19年度稼動を目指し、新渡刈清掃工場建設計画を進めています。

市は、中根助役を委員長とし、6名の部長と2名の外部専門家で構成される建設検討委員会を設置し、新清掃工場の基本理念と基本方針(方向性)についての検討がされてきました。

基本理念

@     環境への影響が最小限であること。

A     安定的で継続的に処理ができること。

B     耐震性、作業環境等の安全面を重視する。

C     経済面から最大の費用効果があること。

基本方針

@     環境に最大限配慮した施設であること。

A     エネルギー循環型施設として発電等、余熱利用を行う。

B     安定稼動性に優れた施設であること。

C     安全性に優れた施設であること。

D     藤岡プラントからの90トン/日の焼却灰も溶融処理を行う。

E     埋め立て処分場の軽減を図る。

F     稼動後25年の使用を目標とする。

G     地域と調和した施設であること。

H     稼動実績を踏まえ、現行のストーカ炉方式と熱分解ガス化溶融炉方式で比較する。

I     焼却ごみ量の810%発生する溶融スラグ(焼却灰等の廃棄物を燃焼熱や電気から得られた熱エネルギ−等により1200℃以上で加熱、燃焼させ、無機物を溶融した後に冷却したガラス質の固化物)の積極的な有効利用を図る。

J     CO2排出削減策は補助燃料を控える。

K     発電を積極的に利用し、場内の給湯などに使用。余剰電力は売電も考える。

L     方式を133月までに決定。1819年度竣工予定。

M     資源ごみ分別発生抑制は、リサイクルを推進することが発生抑制になると認識。包装容器リサイクル法に基づく更なるごみの分別を進めること。

 

 これらのことを検討した結果、昨年の12月議会において思政クラブ議員の質問に「新工場は、処理方式を熱分解ガス溶融方式にする。」と部長答弁されました。議会にとってはまさに寝耳に水で私は、処理方式決定に関する議論がまだまだ不十分に感じました。また、市民への情報提供も全く不足しておりました。

 通常、多くの自治体では、巨額の建設費が想定され環境問題への配慮が必要な新清掃工場建設問題は、特別委員会等を設置し、慎重審議するのがあたりまえです。しかし、豊田市では一切そのような動きがありませんでした。

そこで、次世代型である熱分解ガス溶融方式導入に疑問を感じていた私は、1人会派議員や公明党議員3名に呼びかけ、病気療養中の加茂議員を除いた岡田、篠田、外山、大村の1人会派4議員で議長に対して議会主導で清掃工場建設の検討事項を審議すべきだとして「(仮称)新清掃工場建設特別委員会の設置」を要望する申し入れを行いました。

 結果としては、特別委員会設置はなりませんでしたが、常任委員会である市民経済委員会にて「新渡刈清掃工場建設問題」を本会議閉会中の継続調査事件とすることが承認され、3回の委員会審議がされました。委員会審議されたのはよかったのですが、結果的には担当所管の説明を聞くだけに終わり、委員(議員)自ら問題提起し、賛否両論ある問題を専門家を招くなどして解決しようという姿勢がこの委員会にはありませんでした。私は、この委員会には所属していませんでしたのでルールにのっとり委員外議員として発言を求めたものの大村議員一人が発言を許可することに賛成されただけで思政クラブ議員、公明党議員は、私に発言する機会さえ与えないという非民主的な委員会運営でありました。まさに豊田市議会の縮図とでも言えましょう。議論をするはずの議会が、議論を拒もうとするのです。思政クラブ、公明党で39名中34名を占めるという異常な議会構成のなせる技かもそれませんが。

 

何が問題なのか

 

それでは、私がなぜここまでこの熱分解ガス溶融方式導入に慎重なのかを説明いたします。それは、まだこの方式の稼動実績が乏しく、安全性に疑問があるからです。ドイツではこの方式のプラントでガス漏れ事故を起こし、その後、稼動していない事実があるのです。確かに、その後の改良で進歩があったかもしれませんが、まだまだ不安です。私自身、何が何でも導入反対といっているのではなく、他の自治体での稼動実績を見極めて導入すべきだと主張しているのです。

市では、第3者機関の認証が得られていると事あるごとに言われるのですが、メーカーの実証試験は、連続30日を含む、100日稼動で認証が取れてしまいます。その第3者機関と言われる(財)廃棄物研究財団は、日立造船、三菱重工業、川崎重工業、石川島播磨重工業など大手プラントメーカー9社が11億円の出捐企業として財団を組織し、人も金も出している状況を考えますと、はたして中立的な3者機関と言えるのか大いに疑問です。

その廃棄物研究財団が発行したあるメーカーの廃棄物処理技術評価書では、プラントの安全性、耐用年数とランニングコスト、ダイオキシン類の発生等の記載について、市の見解とは異なり、実証試験でさえ多くの問題が発生していることを伺わせる記載があります。

 

@     安全性については、「チャ−の粉じんの爆発性については、粉じん爆発は発生する可能性が低いと判断される。」と実用施設での爆発の危険性を示唆しております。

A     また、延べ100日を超える実証試験期間中、「チャ−閉塞」、「チャ−漏出」、「砂循環ライン閉塞」等、多くのトラブルが発生し、実用レベルでないことも指摘しております。

B     スケールアップについては、「安定した流動状態、不燃物排出状態を維持できる炉床熱負荷及びガス速度を確保することにより」という前提条件が付いており、それらをクリアできる保証はありません。

C     ランニングコスト面では、常に補助燃料を使用していたということが記載されておりますし、耐久性については、「破砕機破砕刃の毎年交換」、「各種耐火材の毎年補修」等、耐用性、補修頻度についても、現行炉と比較し、優位性が感じられません。実際、私が視察で話を伺ったメーカーの技術者は、いずれのメーカーの技術者も「プラントの耐用年数は15年前後だろう」と言われました。市が主張する使用年数25年もガス化溶融炉は本当に持つのでしょうか。

D     さらには、ダイオキシン類の濃度についても記載によりますと、「再合成を考慮し、適切な排ガス処理システムをこれから構築する必要がある」と述べられております。とするならば、ストーカ炉にバグフィルターを付ける従来型のストーカ炉と全く変わらず、優位性が全く感じられないと思います。実際、ダイオキシン濃度については、現行炉でも平成13年1月16日の測定値、渡刈清掃工場1号炉で0.0059ng-TEQ/m3N、2号炉で測定限界以下となっているのです。

E     それに、万一、事故が発生したときには、市職員では事故処理がスムーズにできるかどうか。ドイツで起きた爆発事故の教訓を日本メーカーは生かしていると言っていますが、想像もできない事故が発生する可能性もないとはいえないのです。

また、メーカー派遣職員を多く抱えれば間違いなく人件費等の公費負担は増大するでしょう。

F     それから、現在は、各プラントメーカーも損して得取れで実績を作りたいため、トンあたり建設費も2,300万円〜6,700万円と灰溶融施設を含めたストーカ炉と比較して安い建設費で落札しているようですが、今後、導入自治体が増えれば建設費も上がっていくことが想像できます。

G     ダイオキシンの発生だけではなく、高温になるが故の鉛等の有害重金属排出問題も必ずでてきます。

H     焼却灰を溶融してできる溶融スラグの使い道も問題があります。スラグは路盤材等に使用するといわれていますが、建設業界で必要とされる路盤材は年間1,000万トンだそうです。そして、廃コンクリートの破砕物だけで年間3,700万トン発生しており、そのうち約2,400万トンが路盤材や建設資材にリサイクルされていると言われています。つまり、「路盤材」は「廃コンクリート」で十分だということです。また、リサイクルされていない1,300万トンの廃コンクリートの使用先にも困っていることを考えますと、スラグを路盤材等に使用しようとするのは非現実的だと思われます。

I     溶融スラグに含まれる重金属類の溶出問題についても心配があります。これは、国の溶出試験では『PH5.8〜6.3の水溶液に6時間浸透』することになっているのですが、実際に国内では、PH3〜5レベルの酸性雨が降っていますので全く無意味な試験と言わざるを得ません。以前、訪問した尾張東部組合・晴丘センターの職員さんも重金属類の溶出については自信が持てませんと言っていました。多治見市では、直接溶融炉の建設を進めておりますが、事実、現状の溶融試験には疑問を持っており、新清掃工場完成後のスラグについては、庁舎屋上にて長時間の溶出試験を実施するとしています。これらを考えますと酸性雨の進行とともに10年後、20年後にどのような問題が発生するか分かりません。もし、溶融スラグを路盤材等に使用後に危険性が明らかになったとき、誰が責任を取るのでしょうか。市内全域が最終処分場状態になっているのです。現在の市長はじめ、3役はもちろん、議員も責任を取れる立場にいないでしょう。こうして考えますとガス化溶融炉の導入、溶融スラグの利用に関しても慎重にならざるを得ません。ちなみに、アメリカでは、PH2.88という酸性度による我が国よりはるかに厳しい溶出試験が義務づけられているそうです。

 

これらのことより私は、新渡刈清掃工場の熱分解ガス溶融炉方式の導入には、慎重にすべきで安全性と実績により清掃職員が業務に十分熟知しているストーカ炉の導入を再検討すべきであると考えます。

 

これから私たちが考え、すべきこと

 

この6月定例議会での私の質問に対して鈴木市長は、「現段階では熱分解ガス溶融炉方式がベターではないかと判断している。」と答弁されました。これは、非常に評価できる答弁ではなかったかと思うのです。確かに今のところ何の事故等も報告されていない段階ではこの熱分解ガス溶融炉方式を否定はできないかもしれませんが、「何か問題があったときには、考え直すことは当然である」とこの答弁から読み取ることができるのです。

 平成19年度稼動を目指すということは14年度に発注仕様書作成、15年度建設着工となるはずです。その間に他の自治体で何かあった場合、再度、新たな方式の評価書、発注仕様書を作成しなければなりません。当然、建設時期は延期しなければなりません。

そうしたときにまずやらなければならないことは、市民が中心になった徹底したごみと分別、減量化を進めることです。何も問題が生じなくても発生抑制、資源化目標として19年度の46,000トン、25年度は60,000トンが掲げられています。これは相当な量です。率にして30%〜34%。今までどおりの生活では達成できない数字です。電気式の生ごみ処理機を使用しているご家庭でも約8万円する処理機に3万円の補助をもらっても5万円は個人負担です。それに4人家族の家庭から出る標準生ゴミ量を電気生ごみ処理機で処理した場合の電気代を計算すると、1日23円〜37円かかり、年間約8,000〜14,000円の負担をしていることになるのです。また、集合住宅では、仮に処理機を使い堆肥化してもできた堆肥の使い道がないなど、これらのことから生ごみ処理機の普及が頭打ちになっているようです。

他市の取り組みを見てみますと、名古屋市では、市民も巻き込んだごみ減量化に取り組むため昨年9月に「市民が創るごみ減量先進都市なごや」〜プラスチック製・紙製容器包装の資源収集の取り組み状況について〜をテーマに市政懇談会を実施し、様々な意見収集をされていますし、ある区では、生ごみ処理機で1次処理した堆肥を回収する実験をはじめています。

また、豊明市では、経済環境部環境課リサイクル係から伺った話によりますと平成11、12年度に市内約千世帯をモデルに実施した生ごみの分別収集と堆肥テストにより、生ごみたい肥化の実用化にめどがつき、全世帯の生ごみの分別収集、堆肥化事業を実現する調査・研究費、約800万円を計上したそうです。こうした事業は、市民の徹底した生ごみ分別意識が前提になりますが、豊田市の市民意識から考えれば実現可能かと思われます。

生ごみの堆肥化は、焼却施設への負担を軽減し、施設更新を延長できる効果も期待できます。ごみの減量化を推進せずに新清掃工場建設とは、豊明市民に笑われてしまいます。しかし、ただ単にごみの減量化と叫んでみても市民1人1人ができることには限界があります。

メーカーの製造者責任による発生抑制はもちろんですが、市は生ごみの分別収集もしくは1次処理した堆肥の収集やダンボール、新聞紙等以外の「その他紙製容器包装類」やペットボトル以外の「その他プラスチック製容器包装類」の分別収集を皆さんの理解、協力を得て早急に始めるべきだと思っています。

私たちもごみを出さない、ごみになるものを極力買わないなどライフスタイルを見直さなければならない時期に来ているのではないでしょうか。ごみ問題は、行政やメーカーは勿論、私たち市民にとっても真剣に考えていかなければならない問題の1つである事を忘れてはなりません。